🩺【看護学校のICT改革】コロナ禍で見えた「変革の力」― 正解のない中で決断した管理者の挑戦 ―

こんにちは、トッキーパパです。

私はこれまで、救命救急センターで副センター長として、また看護学校では副学校長として、臨床と教育の両面で管理の仕事に携わってきました。
管理者という立場では、「正解がわからないのに答えを出さなければならない」場面が多くあります。これは本当に苦しいことです。

中でも私にとって大きな試練だったのが、新型コロナウイルス感染症による世界的パンデミックのときでした。

未曾有の事態 ― 対面ができない教育現場

2019年12月、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中へ広がりました。
WHOは2020年1月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、同年3月には「パンデミック」を宣言しました。

日本でも2020年1月に初の感染者が確認され、4月には「緊急事態宣言」が発令。
学校は休校となり、登校や対面授業ができなくなりました。

私の勤務していた看護学校でも、授業の継続や入学者募集活動(高校訪問・オープンキャンパス)など、すべての仕組みが一瞬にして止まってしまいました。
それでも教育を止めるわけにはいきません。正解のない中で、どうすれば学生の学びを守れるのか、そして学校の未来をつなげられるのか――苦悩の中での決断が始まりました。

変革のカギは「ICT」と「デュアル・システム」

私はまず、他校の先進的な取り組みを調べ、ICT(情報通信技術)活用の必要性を痛感しました。
しかし、本校ではデジタル化が遅れており、教職員の中にも抵抗感がありました。

そんなとき、私の頭に浮かんだのがジョン・P・コッター教授の理論でした。
ハーバード・ビジネススクール名誉教授である彼は、著書『実行する組織』(2015年)で「8つのアクセラレータ」と「デュアル・システム」という組織変革の考え方を提唱しています。 この理論を、学校組織の変革に活かせるのではないか――そう確信しました。

「デュアル・システム」で動くチームづくり

デュアル・システムとは、

・階層型組織(役職・部門で構成される従来型組織)
・ネットワーク型組織(役職や部署を越えて「やりたい」と手を挙げた人が集まる組織)

この2つを併存させる仕組みです。

私は、学修管理システム(LMS:Learning Management System)委員会を立ち上げ、学科の垣根を越えて志あるメンバーを募りました。
私はリーダーとして責任を負いながらも、実務的な部分はメンバーに任せ、全員がリーダーシップを発揮できる環境づくりを心がけました。

「8つのアクセラレータ」で変革を加速させる

コッターの「8つのアクセラレータ」は、変革を前進させるための8つの要素です。

  1. 危機感を高める
  2. コア・グループを作る
  3. ビジョンを掲げ、イニシアチブを決める
  4. 志願者を増やす
  5. 障害物を取り除く
  6. 早めに成果をあげて祝う
  7. 加速を維持する
  8. 変革を体質化する

これらは順番に行うのではなく、同時並行で継続的に取り組むことが重要です。

私たちはこの考えをベースに、Zoomによるオンライン授業・オープンキャンパスの導入、そしてMicrosoft 365による教職員・学生間の連携強化を実現しました。
この導入により、対面とオンラインの双方の利点を生かすハイブリッドな教育体制が整いました。

変化に抵抗する「人」の壁をどう越えるか

変化のスピードが速く、状況が複雑になるほど、スピードと柔軟性が求められます。
しかし多くの人は、慣れたやり方を好み、新しい方法に抵抗してしまいます。
私が感じたのは――「真の問題は、いつも人間にある」ということです。

だからこそ、管理者は「迷いながらも決断する勇気」を持たなければなりません。

「脅威の裏にチャンスがある」

コロナ禍は確かに大きな脅威でした。
しかし、同時に変化の扉を開くチャンスでもありました。

管理者の皆さん、迷いながらでも大丈夫です。
ヒントは、身近なところに必ずあります。
どうか可能性を信じ、あきらめずに一歩を踏み出してください。

参考書籍

・ジョン・P・コッター『実行する組織』(2015年)
・ジョン・P・コッター『組織はなぜ変われないのか』(2022年)